家電マニアの備忘録hatenablog

自称家電マニアである私の備忘録です。

DENON PMA-700Z プロテクト解除しない

DENONの1970年代中頃に発売されたPMA-700Z

当時のDENONのフラッグシップモデル?だそうで、以前からどんな音作りなのか気になっており、この度ジャンク品を安くで手に入れてみました。

PMA-700Z

目だった大きなダメージは見受けられず、比較的綺麗な個体が手に入りました。

カバーを開けて雑巾で水拭きをしました

カバーを開けるとフカフカなくらいのホコリの堆積がありました。見渡すと手を入れた痕跡は無さそう。これはluckyです!

あまりにもホコリだらけなので手の届く範囲でサッと雑巾で水拭きをしておきました。

 

さて、症状ですが、電源スイッチを入れると、電源ランプは点灯するのですが、プロテクタが外れません。

 

スピーカー端子を測定すると、300mV前後を行ったり来たり。

パワーアンプ基板の半固定抵抗を調整するも全く変化が無く、一向にプロテクタは解除されません。

 

プロテクタ基板とパワーアンプ基板のメンテナンスを行うことに。

プロテクタ基板 周囲は分厚くホコリが堆積しています。

プロテクタ基板上の薄緑色の電解コンデンサーは、150uF/16Vという珍しい容量が使われていますが、プロテクタ解除の為の時定数設定用のコンデンサーのようです。

周囲のトランジスタ、日立の2SA673や2SC1345(角形パッケージ品)は軒並みリード線が真っ黒になっていました。

ひとまず、手持ちの電解コンデンサーやトランジスタを用いて交換してみましたが、結果としては解決しませんでした。交換した電解コンデンサーは足元に液漏れが乾燥した跡があったり、トランジスタはhfeの値が著しく低下している物が多くみられました。

 

45年も前の機器ですので、古いトランジスタ電解コンデンサーは全て交換しておいたほうが絶対に安心なので、不足部品の調達を行い再度部品交換を行います。

以前、PMA-500ZやPMA-850IIをオーバーホールした際も、中途半端に古い電解コンデンサーやトランジスタを交換せずに使用したら結局ノイズが発生して再修理することになった経験もあるので、疑わしきモノは部品が手に入る限り交換するのです。

 

部品が届いたので、2回目の部品交換を行い、プロテクタは解除されるようになりました。プロテクタ基板のトランジスタ不良でしたが、全てのトランジスタを交換したため、特定には至っておりません。(値の低下から恐らく2SC1419です)

 

パワーアンプ基板のパワートランジスタを取外し、乾燥したシリコンはIPAで除去し、シリコンを塗布しなおします。hfeを測定してみましたが、低下は見られるものの、まだ使えそうでした。

サンケンのトランジスタ

終段はサンケンの 2SA747と2SC1116がつかわれています。

アンプのチェックが済んだので、AUXから音声を入れてヘッドホンで聴いてみると、ボソっボソっとノイズが。それにサーーー音のノイズも酷い。

しかし、ソースの音は、太くて良い音が出ていました。太いというか厚いというか密度がある音ですね。

 

イコライザ・ヘッドアンプ関連の基板をメンテナンスするためにフロントパネルを外すのですが、この機種はボリュームツマミもイモネジで固定されています。(PMA-500Zは差し込んであるだけでした)

強く引っ張っても抜けませんのでご注意ください。

ゴムリングを滑らせたところ。イモネジが見える

ゴムリングを取り外して、イモネジを緩めないと外れません。また、イモネジがマイナスなので緩めにくいのです。もとに戻す時には6角のイモネジに交換しようと思います。イモネジに潤滑油スプレーを塗布し数分放置することでどうにか取り外す事が出来ました。

 

ゴムを取り外してイモネジをゆるめるととれる

ゴムリングをどうやって外そうかと悩み、かんたんマイペットをツマミに吹きかけてゴムとツマミとの間に浸透させてヌルヌル状態にしてゴムとツマミが空回りするのを確認してから、ゴムリング部分を手前にヌルっと抜き取りました。キズ付ける事なく、うまく取り外せました(笑)

 

フロントが外れたので、取り合えず上段右にあるPHONOイコライザー基板を取り出して電解コンデンサーの交換を行う。

PHONOイコライザー

この機種は、他の情報を見ていると、コネクタが使えそうなのに、なぜか半田付けで止めてあるとの記事が多いのですが、この個体は半田ではなく、全てコネクタで接続されていました。

底面カバーを外して見たところ

御覧のとおり、コネクタで接続されています。

コネクタ接続なので、簡単に取り外して、手元で丁寧に作業が出来ます、luckyでした!

 

次に、上段左のトーン回路のトランジスタ2SC1345Eを交換してみました。日立の角型パッケージ(旧型パッケージ)はリードの配列ECBが逆になるので注意が必要です。値を測定してみると著しい低下は見られませんでしたが、リード間にお決まりのアレが多発していたので再利用はせずに新品に交換しておきました。

 

この状態で仮組みして、ヘッドホンでソースの音を聴いてみると、ノイズはかなり減っており良い音で聴くことが出来ました。

 

次に、再度トーン回路を取外し、電解コンデンサーも全て交換してみました。バイポーラの電解コンデンサ(4.7uF/25V)も交換。電解コンデンサーを交換すると、また一段とノイズが減り、いい具合に鳴るようになりました。

 

次は、フィルターアンプ基板のトランジスタ、2SC1345Dを6個交換しました。これにより、また一段とサー音は減り、フィルタースイッチを操作するも切替ノイズが大幅に減少しました。

 

仮組みしてヘッドフォンで音を確認すると、トーン回路が動作するようになっていました。交換前は音は出るが、トーン調整が全く機能していなかったのです。

かなり低域や高域の増減調整が出来て良いです。

 

フォノ回路はまだ未チェックですが、現状AUXから入れたソースが良い音で鳴るようになりました。

ただ、ゲイン調整を操作すると激しくノイズが出て、時にプロテクタが動作するので、ゲインコントロール基板の2SC1345Eも交換しておこうと思います。

 

PMA-700Zは初めて扱う機種で不安も多かったのですが、蓋を開けて見ると、ケミコンの交換と、日立の角型パッケージのトランジスタを一掃することでほぼほぼ問題なく使えるようになりそうですね。

 

今後は各基板の電解コンデンサーの交換やトランジスタのチェックを行い、最終的にはスピーカーを繋いで音出しをしてみたいと思います。