DENONの1976年頃のプリメインアンプ、PMA-500Zのジャンク品を入手しました。このモデルはPHONO入力が2系統あるのでターンテーブルを2台接続して切り替えて使いたいと思い手に入れてみました。AUXも2系統あるので便利そうです。
1976年当時で定価¥87,500-という価格というのは、当時大卒初任給が5万円くらいだったらしいので、今の価値だと30万円くらいに値するのでしょうか・・・。
届いたものは比較的美品でした。大きな傷も見当たらず、ワンオーナーだったのかな?と感じさせるものでした。この状態ならば恐らく内部は手を入れられておらずオリジナルのままじゃないかと思われる。期待で胸が膨らみます。
早速、木製のキャビネットを外して内部を見てみました。ホコリは勿論ありますが、思った以上にホコリの量も少ないですね、使用時間はどのくらいなんでしょう。シンプルな配列で、トランス、平滑コンデンサー2本、パワー基板L/R、整流回路、ミュート回路がみえます。各ブロックがシンプルに構成されており、観ていて気持ちいいですね。
手前の黒いカバーを外すと、トーン回路、イコライザーアンプ回路があります。
ざっと見渡した所、やはり日立のトランジスタ2SC458や1345等、足は真っ黒になっていました。よくよく見ると、足の間から伸びたスス状のものが足間をショートさせているんじゃないかというくらいがっちり付いていました。歯ブラシでこすって除去しておきました。
続いて、底面のキャビネットを外し、底面からじっくり観察してみました。半田の輝きも褪せておらず、半田割れ等は一切見当たりません。これは本当に美品の個体をゲット出来たんだなーと嬉しくなりました。アンプ基板はコネクタで接続されているので、コネクタを外し、固定ネジを取り除けばそっくり取り外す事が出来ます。
内部に目立った損傷がない事を確認し、次に通電にはいります。勿論、通電操作の前に各部のボリウムやスイッチ類を何度か操作させておきます。接触不良が絶対にあるだろうから少しでも軽減させる為の準備運動みたいな感じですね。
そして、いよいよ通電。スイッチをON側に倒します。数秒後、カチンという音がしてリレーが働きました。
スピーカーを接続する前に念の為にDCを計ってみました。
Rchはほぼ「0」でしたが、Lchは-0.6もありました。パワー基板の半固定抵抗を調整しゼロに近づけます。
右はアイドリングの調整、左はDCの調整のVR。両方のchの調整が終わったらスピーカーを接続してみます。
さすがに、普段使っているスピーカーを接続するのは怖いので、小型のSP(8オーム、0.5W)を接続してみました。
電源を投入すると、、、、 サァーーーー!というホワイトノイズがひどい。しかもLchからのみ。Rchからはほとんど聞こえない。
試しにLPの音源を繋いでみたのですが、ほとんど増幅していない感じ。
テープのREC端子から別のアンプへ接続してみたところ、ホワイトノイズはゼロ。ということは、アンプ基板の初段からのTrの不良だろうと思われる。
部品を手配し、コツコツ交換に励もうと思う。
部品点数もそう多くなく、シンプルなアンプですね。チューブラ型電解コンデンサーが当時を忍ばせます。
回路図を見つけました。部品や電圧も記載があり参考になりそう。
DC調整はスピーカーターミナルに電圧レンジのテスターを二台繋ぐように指示があります。
上図より、アンプ基板の部品面にある、一番左端のRDという端子と、その端子に繋がるコネクター間にテスターを繋ぐように指示があります。
師匠から、-36VのFUSEの所に電流計を挿入して(FUSEを取り外して)測定すると教わり、実際にやってみたら簡単に調整が出来ました。
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取り急ぎ、パワーアンプ基板のトランジスタ、2SC1345F、2SC458Dを交換、追って2SA537Aも交換。その後DCを調整し電源を投入。
相変わらず、サーー音は消えていませんでした。師匠から、電解コンデンサーは全て交換してから電源を投入すべきだと助言を頂戴し、今更ながら全ての電解コンデンサを交換しました。
電解コンデンサ交換だけではサー音は消えず、またまた師匠からの助言で、トーン回路の確認。トーン回路にも日立の2SC458LAが使われており、御多分に漏れず足も真っ黒です。
手持ちは2SC1815Lが沢山あるので、トーン回路の4つは全て2SC1815Lに交換しました。それにより、サー音は消えてくれました!
ただ、よくわからずにメインボリュームを上げたりしていたため、Lchのパワートランジスタ(モトローラMJ2501/3001)を飛ばしてしまった模様。。。-36V側のFUSEが溶断してしまい、その時にMJ2501が昇天してしまったようです。(泣)
現在はSGTomsonがMJ3001/2501を製造しています。個人的に当時物でレストアしたいという思いが強かったのですが、師匠曰く「新しい部品のほうが蒸着技術も向上しているから安定していて良いだろう」との助言を頂戴し、こだわる必要は無いんだなぁと実感。もし当時物でレストアしても結局は「自分好みの音」にしたく、またいじくりまわすに決まってると・・・(笑)
ネットで検索するとペア選別済みのものが売られているので早速注文。届いたら両ch交換しようと思います。
師匠からの助言、パワーアンプ基板の3番と9番の電圧を計って異常値が出ていない事を必ず確認すること!はい、よくわからずに昇天させた実績もあるので細心の注意をはらって作業しようと思います。
トーン回路に使われているK40の代替えはK30やK246になるそうです。これらはFETという物らしくリードはSGDであらわされるようですね。500ZはK40が2つ使われており、交換を検討しているのですが、シルク印刷はSDGと書いてあり、何故ECBじゃないの??と疑問に思っていました。
そういえば昔授業でソース・ゲート・ドレインというのを習ったような・・・と思いだし、師匠にも教わり納得。K30は手持ちがあるがなんだかもったいない気がしたのと、たまたまPair選別品の246が売られていたので246Pairを購入して交換してみようと思う。
LchとRchの電圧を測定してみたら良いと助言をいただき、早速測定を行う。意外にも両方とも同じような値・・・。すっかりお手上げだなぁ、と悩みつつTrが吹っ飛んで居ないか一つずつ測定器にかけてみようと思い立った。そんな中、Tr1の半田不良を発見。きちんと半田をすることで、Lchのアンプは復活してくれた。
結局の所、モトローラのトランジスタは全て健全でした。シリコンと雲母板を取り除き、シートタイプのものに交換しておきました。
丸一ヵ月かかりましたが、なんとか復活させることが出来て良かった。今回の修理での教訓は、
- ケミコン(電解コンデンサー)は必ず全数交換する。
- トランジスタは当時物にこだわらず、新しい互換品を用いる。
- 旧型のトランジスタとTO-92とはリードの配列が異なる(FETも)
- 半田後のフラックスはきちんと除去し半田を目視確認する。
- 重要ポイントの電圧・電流を測定すること。
ですね。
修理後、早速LPを聴いてみましたが非常に良い音で感動しました。JAZZだと音像の定位が素晴らしく、奏者の位置が浮かんできます。古い物ですが、こうして再度使えるようになり嬉しく思います。大事に使いたいと思います。
ミューティングスイッチがあり、-10、-20減衰させることが出来るため、ボリュームの調整が行いやすくなり使い勝手も音もいいアンプです。